かみ合わせ治療

かみ合わせによる診断的治療のすすめ

各種検査で異常なしといわれたが、症状は改善しないし…
どうしたらよいのだろう、と困ってはいませんか?
診断的治療とは、症状との因果関係が明確でない場合に使用するものです。その一つの治療法として、私が今回ご紹介したいのはS-BT療法というものです。

体とかみ合わせとの関係

姿勢が悪いと体の重心が不安定になりますし、脊髄神経に影響して様々な問題が起こることが想像できます。良い姿勢が健康維持に大切であることに異論を唱える人はいないでしょう。

姿勢を維持するのに歯のかみ合わせが緊密に関わっているとしたら、それについてもっと知りたいとは思いませんか?
具体的な例を用いて説明します。

子供が活発に運動場で飛んだり跳ねたり、転んで泣いたりした夜には、歯ぎしりや寝返りが普段より多いことに気が付いた親御さんも多いでしょう。それは肉体的、精神的ストレスを緩和する保護行為です。寝返りや、歯ぎしりをすることで体を治そうとしているのです。

ある日、3歳のお子さんを連れて来院されたお母さんが、『この子、歯ぎしりがひどくて歯がすごく擦り減ったのだけど、どうにかなりませんか?』との訴えでした。

この子は乳歯列が完成して間もない時期なのに、すでに歯冠の半分まで磨り減っていました。体の重心は不安定で、起立の姿勢が維持できずに揺れていました。腰の位置は3次元的にずれていて、片方が偏平足です。この子は体の歪みを治そうと激しい歯ぎしりをしているのです。そこで、偏平足の矯正をするソール(靴の中敷き)の使用を勧めて、ある程度の姿勢の改善後に整復体操をしてアゴのズレを調整し、噛み合わせの治療をしたことで体の重心が安定し、歯ぎしりが減りました。

成人でも、体が歪むような悪い生活習慣があると、歯が片減りし、それを治そうと寝返りや異常な歯ぎしり(くいしばりを含む)が起きます。幼児でも寝返りで歪んだ体を治せない場合があるのに、体が硬くて重い成人は治りにくいでしょう。ところがやっかいなことに下顎は動かしやすいので歯ぎしりは存分にできてしまいます。歯の片減りが発端となり、その片減りを治そうとして歯ぎしりなどの咀嚼筋の過緊張が起きて、更に片減りします。その結果、歯のかみ合わせがズレて、顎関節頭は偏位し、しだいに体が歪み、重心が不安定になるなどの負の連鎖(歯が片減りする、体が歪む、更に歯が片減りして体が歪む…)を引き起こします。

知って頂きたいのは、頬杖や組み足、片噛み、うつぶせ寝や横向き寝、悪い姿勢など、歯が片減りするような悪い生活習慣が事の始まりであることが多いと云うことです。歯の治療後に病気が再発しないようにするには、原因となる生活習慣を見つけて改めることが大切です。

下顎の位置のズレは、舌骨や第1、第2頚椎の3次元的な位置に影響します。第1、第2頚椎は骨格のバランスに関係していて、脊柱の形態(姿勢)に悪い影響を及ぼします。
正しい姿勢の人は、頭蓋の変形がなく骨盤と第1、2頚椎と下顎の位置が正しい位置関係にあります。
噛み合わせの3次元的位置(=顎関節頭の位置)が諸筋群と関係して下顎の位置を定めています。ですから下顎の位置を誘導する歯のかみ合わせは、姿勢をメモリーする働きを担っていると云えます。

歪んだ姿勢は自律神経に悪い影響を及ぼします。自律神経は全身のあらゆる組織に流れる血流をコントロールしているので、その働きに異常が起きると特定の組織の血流障害が起きます。それが肩で起きれば肩こりとして、耳(三半規管)であれば目眩、舌なら舌痛、頭なら頭痛やうつ状態という具合に、体のどこでどのような症状が起きても不思議ではありません。これら一連のメカニズムはS-BT療法(診断的治療)の経験からの推測です。

かみ合わせ(=顎関節の位置=下顎の位置)と頚椎と自律神経の関係

歯のかみ合わせのズレにより第1・第2頚椎の位置関係にわずかなズレが生じると、脳への動脈が圧迫されて、めまいなどが起きることがあります。第2頚椎には歯突起という軸があり、この軸を中心に第1頚椎が回ることで、首を回します。第2頚椎より下の頚椎は軟骨の椎間板で連結され、頚椎がしなるように動くことができるようになっています。頚椎は頭の重みを支えているし、頚椎は脊髄神経と脳へ行く椎骨動脈の通り道で、その血管や神経を保護しています。頚椎が正しくなると脳幹の働きが良くなります。(図1参照)

第1・第2頸椎は、骨格のバランスに関係していて、そのズレは頚椎の正しい湾曲形態を歪めてしまうために姿勢が悪くなるのです。(図2参照)

脊椎が悪く歪んだ姿勢は、脊髄神経に影響して自律神経の働きに変調を招くのです。

▲図1:第1頚椎、第2頚椎の位置関係です。中央の穴が神経の通り道です。
第2頚椎の歯突起を軸として、第1頚椎が回ることで、首が回ります。
左側に歪んだ頚椎の状態です、神経の通り道がねじれています。第1頚椎はズレ上がり、首が傾きます。S-BTプレートでかみ合わせを調整してこのズレを修正します。

▲第1頚椎と第2頚椎に(1)のようなにズレがあると第1頚椎は矢印(1)(2)の方向にズレ上がって脊椎神経の通る穴が歪んでしまいます。
またこのズレは頚椎の正しい湾曲形態を歪めてしまうので骨格のバランスが狂い姿勢が悪くなるのです。